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- 01 事故直後の対応 保険会社への事故報告
第1回目交通事故に遭ったらどうするの?
01事故直後の対応
4. 保険会社への事故報告
〜被害者も保険を活用することで、事故の負担を減らすことができます〜
最後に、自分の契約している保険会社に、事故報告をします。
加害者であれば、相手方への賠償のために当然必要なことですが、被害者であっても自分の保険会社に報告をしておくべきです。
被害者であっても、あとでこちらにも過失があったことが判明し、自分の保険を使わなければならなくなる場合があります。また、自分に過失がなかったとしても、相手方が保険に入っておらず、自分の保険を使わなければならなくなる場合があります。
ですので、全面的な被害事故だと思っても、一応自分の保険会社に事故報告をしましょう。
なお、自分の保険には、人身傷害保険や搭乗者傷害保険という保険がついていることがあります。
これはいずれも、自車の搭乗者のけがを補償する保険ですが、過失の有無にかかわらず保険金が支払われます。
人身傷害保険は実費払いなので、相手方から全額賠償を受けた場合は請求できませんが、搭乗者傷害保険はふつう定額払いでありことが多いので(例:入院日額○円、通院日額○円)、相手方から全額賠償を受けた場合でも、さらに請求することができます。
しかも、これらの保険は通常、使用しても保険の等級上ノーカウントと扱われ、保険を使ったからといって翌年の保険料が高くならないはずなので、積極的に利用することを考えてください(なお、対物賠償、対人賠償などの相手方への賠償のために使う保険は、使うと翌年の等級が3等級ダウンし、保険料が高くなります。)。
さらに最近は、被害者が弁護士に依頼して相手方に損害賠償請求をする際の弁護士費用を出してくれる「弁護士費用特約」というものが存在します。
保険料が安く、しかも先ほどの人身傷害保険や搭乗者傷害保険と同様、通常はノーカウントと扱われ、翌年の保険料増額の負担もありません。このコーナーで説明するような被害者側の対応をすべて自分で行うのは大変なので、保険契約の際には弁護士費用特約をつけておき、交通事故に遭ったときには弁護士費用特約を使って弁護士に任せてしまうようにすれば、安心なのではないでしょうか。
なかには、弁護士なのに自分の自動車保険に弁護士費用特約をつけている人もいます。「弁護士だったら自分で示談交渉すればいいのに…」と思われるかもしれませんが、弁護士であっても、安い保険料で事故時の示談交渉を他の弁護士にやってもらえるのであればその方がはるかに楽です。ですから、弁護士であっても、弁護士費用特約をつけるメリットは十分あります。そう考えると、一般の方についてはより一層弁護士費用特約をつけておくメリットがあるでしょう。
そのほかにも、最近は保険もサービスが多様化しており、多くの保険会社で、自力走行できなくなった自分の車を無料でレッカー移動してくれたり、近くの修理工場を紹介してくれたりなど、様々なサービスを提供してくれます。なので、ともかく事故が起きた場合は、速やかに自分の保険会社に連絡し、保険会社を有効利用することをお薦めします。
最後に、保険会社への事故報告の際によく尋ねられる事項をざっと挙げておきます。
保険会社によって聴取事項が異なるので、以下の事項で全てとは言い切れませんが、これらの事項を確認しておけば概ね十分だと思います。
- 事故に関すること
- ・事故日時
- ・事故現場の住所
- ・事故状況
- ・届出警察署
- ・担当警察官
- 自車に関すること
- ・運転者氏名、住所、電話番号、生年月日、免許証番号
- ・修理工場名、電話番号
- ・自賠責保険会社、自賠責の証明書番号
- 相手車に関すること
- ・所有者氏名、住所、電話番号
- ・車名、車の色、登録番号
- ・修理工場名、電話番号
- 負傷者に関すること
- ・負傷者氏名、住所、電話番号
- ・病院名、電話番号
- ・症状
- ・車の所有者(あるいは運転者)との関係
もちろん、事故状況あるいはケガの状況等によっては、事故直後にこれらの事項を全て確認できない場合もあります。その場合は、少なくとも相手方の氏名、電話番号、登録番号だけでも確認しておきましょう。
保険会社に事故報告をすると、通常その日あるいは翌日までに事故担当者から連絡があり、事故の相手方にも担当者から連絡がいきます。
事故直後にやっておくべきことは概ね以上のとおりです。
その後の対応については、次回また詳しくご説明します。
- 掲載日:
- 2022年10月4日
- 監修者:
- 川島 英雄 弁護士