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こんなときどうすればいい?

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第3回目相続問題は、生きている間に対処ができる!

04相続に関する法律の制度いろいろ

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4. 相続に関する法律の制度いろいろ

 これまでご紹介した相続の制度のほかにも、相続に関する法律の制度は様々なものがあります。ここで簡単に説明したいと思います。

1 遺言
2 生前贈与
3 遺留分の放棄
4 遺産分割協議

1 遺言

 被相続人が生前に行うもので、あらかじめ自分の財産についてどのように分配するか等を指定することができます。
 遺言は、一度作ったとしても、自由に撤回や内容の変更をすることができます。万が一に備えてとりあえず一つ作っておいて、状況が変わった場合にはまた新たな遺言を作る、ということも可能です。
 ですから、少しでも相続に関して不安がある方は、早めに遺言を作成しておかれることをお勧めします。

2 生前贈与

 読んで字の如く、被相続人から生前に何らかの財産の贈与を行うことです。ただし、法律上問題となる生前贈与は少し範囲が限定され、単に小遣いや扶養料、あるいは誕生日のプレゼント等を渡す程度では原則としてこれに含まれません。生前贈与の代表例としては、婚姻や養子縁組、あるいは生計の資本のために相当の金銭を与えた場合等になります。
 このような生前贈与が相続人に対してなされていた場合、これを全く考慮せずに、相続分を決めてしまっては、贈与を受けていない他の相続人との間に不公平が生じてしまいます。
 そこで、法はこのような形での生前贈与を受けた相続人がいる場合には、原則としてその事実を考慮して相続分を決めることにしています。つまり、生前贈与を受けた相続人は、他の相続人との関係で相続分が減らされてしまう可能性があるということです。このように、相続の際に考慮されるような生前贈与のことを、法律上「特別受益」と呼びます。
 「特別受益」がある場合の計算方法については省略しますが、相続分の計算の際には生前の贈与が考慮される可能性がある、ということをしっかりと認識しておく必要があります。

3 遺留分の放棄

(1)そもそも「遺留分」とは、法定相続人のうち、被相続人の配偶者、子、直系尊属(代表的には親)に保証されている相続財産の一定割合のことをいいます。
 仮に、被相続人が生前に遺言で「全ての財産を○○に相続させる」と記載していた場合、何もしなければいくら被相続人の配偶者でも一切財産を相続できないことになります。
 そのような場合に備えて、相続財産のうち一定の割合については遺言等をもっても奪うことができない、という制度ができました。これが「遺留分」の制度です。
 ただし、一応遺言がある以上、法律的に遺留分が認められる場合でも、実際に遺留分の請求(これを「遺留分侵害額請求」といいます。)をしなければ財産を手に入れることができませんので、その点はご注意下さい。

(2)そして、この遺留分については放棄することも可能です。
 放棄の方法については生前と死後で異なり、被相続人の生前に放棄する場合は、家庭裁判所の許可を得た上でのみ放棄することができます。
 一方、被相続人の死後(つまり相続の開始後)では、家庭裁判所の許可は不要で、自分の意思だけで自由に放棄することが可能です。

4 遺産分割協議

(1)被相続人が亡くなった場合、相続は自動的に開始します。その結果、特に遺言や相続放棄等がない場合には、前に説明したように、現金等は法定相続分に従って当然に分割され、土地等の不動産については相続人全員の共有になります。
 つまり、銀行等は、相続が発生した場合には、相続人全員の同意か、遺産分割協議書がなければ預金を下ろすことを認めてくれません。
 また、不動産についても、いくら共有しているとはいえ、共有のままでは、相続人の一人が勝手に土地を売ることはできません。
 そこで、相続人の間で、財産をどのように分けるかを話し合って、具体的に決定することを『遺産分割協議』といいます。
 遺産分割協議が上手くいけば、○銀行の預金はAさんのもの、△銀行の預金はBさんのもの、円山のマンションはCさんのもの・・というように、財産の最終的な分配が決まることになります。

(2)遺産分割協議の方法には、いくつか種類があります。
 まず、一つ目が話し合い。これは、場所や形式を問わず、とにかく相続人の全員で話し合いをすることです。この話し合いで無事全員の意見が一致すれば、それで遺産分割協議は成功です。
 ただし、注意点が2つあります。
 1点目として、話し合いは必ず相続人全員で行わなければならないということです。通常はこの点につき問題はないと思われますが、万が一被相続人の子ども(認知した子も含む)が他にいたことが後で発覚すると、せっかく成立した遺産分割協議は全て無効となっていまします。
 これを防ぐためには、被相続人の過去の戸籍謄本等を全て入手し、相続人をしっかりと確認しておく必要があります。
 2点目として、適法な遺産分割協議書を作成しておくことです。前述したように、預金の引き出し等の際にも必要になりますし、不動産の登記を変更する場合にも必要になります。第一、口約束のみでは、後で紛争が蒸し返される可能性が高くなります。
 2つ目の手段として、弁護士に依頼した上で、話し合いを行うことが考えられます。この場合にも、あくまで話し合いをすることには変わりないのですが、相続人の調査や遺産分割協議書の作成等は弁護士に任せることができるでしょう。
 3つ目の手段としては、裁判所を利用して話し合いを行う、もしくは強制的に裁判官に判断してもらう方法です。これは、遺産分割の調停、遺産分割の審判という手続きが代表的なものです。

 

次回 05. こんなときは早めにご相談ください!

掲載日:
2022年10月4日
監修者:
川島 英雄 弁護士

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