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バーデン・パウエル Solitude on Guitar

2023年01月20日
弁護士  小坂 祥司   プロフィール

バーデン・パウエル Solitude on Guitar

 このHPのコラムはノンジャンルで、法律に関係する話題に限らないということなので、本や音楽、思い出ばなしなどもつれづれ書いてみようと思います。

 このあいだの休日、しばらくさわっていなかったため乱雑になっていた自宅の書棚を整理していたら、手書きの五線譜が出てきました。何だろうと思って見てみたら、これがバーデン・パウエルという人のギター演奏を採譜(耳コピともいう)したものでした。

 今はもう何年も離れてしまっているのですが、中学、高校、大学と、ピアノとギターは私の日常から切り離せないものでした。中学校に入って間もなく、ギターの「禁じられた遊び」のテーマに惹かれ、それからほどなくして、今度はショパンの「別れの曲」に夢中になるという状態で、ギターとピアノの掛け持ち、しかもどっちも習わないでの「我流」。でも自分で音を出す楽しみは何にもかえ難いものでした。大学時代、司法試験の受験勉強のちょっとした息抜きに、夜遅くギターをつま弾くこともよくあり、あまり大きな音を出さずにすむギターの身近さをありがたく思ったものです。

 この自筆譜を作ったのは、その大学時代、司法試験受験生仲間から教えてもらったあるギターのレコードに惚れ込み、自分で弾いてみたいと思ったのがきっかけでした。そのレコードがタイトルの「Solitude on Guitar」だったのです。バーデン・パウエルという人の名をご存じの方もおられると思いますが、サンバ・ボサノバ系のギタリストで著名な人なんだそうです。私はそのあたりまったく無知で、このレコードで初めてその人の存在を知ったのですが、このレコードでは、彼がコンボを組んだほかのレコードとは違って、ほとんどの曲がギター独奏でした。アルバムのタイトルも「Solitude on Guitar」というちょっと変わったもので(邦題は「孤独」)、収録されている曲も「ギターで演奏されるモノローグ」という趣の曲調でした。「恋人の瞳」「君への面影」「カモメの飛翔」「いそしぎ」「ブラジリアーナ」「あなたゆえ」「孤独な旅」とつながっていき、静かに終了します。

 「いそしぎ」は、「Shado of the Smile」という名前で知られた曲でJazzなどでよく演奏されることがありますが、それ以外はあまりなじみが無く、バーデン・パウエルのオリジナルの曲が多いです。でも、どれもメロディがきれいで、ギターを弾いたことがある人なら、是非これを弾いてみたいと思うのではないでしょうか。ただ、はやりの歌などであれば別ですが、楽譜などが出ているわけもなく、弾こうとしても、耳で聴いて音を拾っていくしかありませんでした。そんな面倒なことをやろうとはたいていの人は思わないのですが、はまり症の私は、このレコードにすっかりはまってしまい、司法試験受験生という立場でありながら(?)、大学4年の夏休み中かかりっきりになって、とうとう一冊の自筆譜を作り上げたのです。これをレコードを紹介してくれた受験生仲間に渡すと、彼もギターを弾いていたので、大喜び。実際に演奏しながら、音を確認して修正していくというあたりになるともう共同作業でした。それが先日書棚の隅から出てきた自筆譜だったのです。
 そんな司法試験受験生時代の思い出にひたりそうになる自筆譜の発見でした。

 今は、ギターもほこりをかぶってしまい、数年間ケースから出したこともなく、ピアノも鍵盤を触ったのが何年前だかわからない状態になってしまいました。音楽好きはいまも変わらず、NHKFMの音楽番組や、衛星放送による音楽番組などは録音して聞いているのですが、自分で音を出すという楽しみは他では得られないものです。ギターやピアノの曲を聴きながら、いつの間にか無意識に指が動いていることに気がつくこともあり、楽器を鳴らすことへの欲求が知らずに現れているのかもしれません。

 しばらくギターを弾いていないため、左手の人差し指以下のつま先部分がヤワヤワになっていて、フレットを押さえていると痛くなってしまうと思いますが、この自筆譜の発見を機に、ケースのほこりを払って、再度挑戦してみようと思っています。


(この記事は事務所報にその要約版を掲載しておりましたが、改めて全文を掲載しました)

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