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コラム

 

息抜きと勉強・・・アルバイトの思い出

2014年03月25日
弁護士  太田 賢二   プロフィール

 司法試験を目指していたころ、地元放送局のラジオカーの運転アルバイトをしていた。もう30年近くも前になる。番組名は、「日本列島ここが真ん中」、月曜から金曜まで毎日午後2時から3時間すべて生放送。台本なし。週に2、3回。5年余り続けただろうか。
 当時アナウンサーだったMさんが、2年ほど前、地方版の新聞にその頃のことをこう書いてくれた。

 


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 彼は、野球少年でした。高校在学中は、甲子園を夢見て最高1日12時間はグラウンドにいるという野球漬け。彼は、「甲子園まであと一歩だったかな」と言いますが、同時期には星稜高校にプロ野球中日入りした小松辰雄投手がいましたし、私から見れば、あと二歩はあったでしょう。

 

 金沢大学進学後、体育会野球部に入学。3年春の地方大会では神宮球場出場を決める試合で惜敗し、「勝つための野球はこれでおしまい」っと、すぱっと切り替え司法試験を目指すことを決意します。しかし現役合格はならず、ラジオ番組のアルバイトをしながら苦戦が続きますが、放送前の打ち合せや反省会に顔を出し、すっかりスタッフの一員となり信頼を得ていました。あまりに熱心なので彼に忠告したことがあります。「バイトなんかやらず、その時間を勉強に向けたらどうか。」、その答えは、「いや、これは息抜き。一日中机に向うより、バイトの後の集中する時間が大切なんです。」。そしてラジオカーでは、若い女性アナウンサーが放送を終えると、「今の場面は表現不足だった」などと注文をつけ、煙たがられていました。

 

 ある日、彼は満面の笑みがこぼれんばかりに私のところへとんできました。「合格しました!」。約束通り、ごちそうしました。おでん屋で。食べる!飲む!食べる!勘定は二人分で「こんなに払う客は初めてやぁ」と、おかみも驚く1万5000円。「おでん屋にしてよかったぁ」と胸をなでおろしました。

 

 さて受験の季節。集中力を高めるには、彼のようなメリハリのある時間の使い方が有効だと思いますが、言うは易し、でしょうか。

 

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 遠く故郷を離れた僕ではあるが、その後もMさんとはすっごく親しくしていただいた。この記事をみたその秋には、お宅までお邪魔して昼間っから飲んだくれた。楽しかった。

 今年1月、そんなMさんの訃報が届いた。1年ほど前、入院して十二指腸乳頭部癌がみつかったという連絡を受けたばっかりだったのに…。

 Mさん、僕は相変わらずです。息抜きは上手ですけども、そればっかりじゃあね。悔いを残さないように、前を向いて生きていきますね。

 

 

 

 

 

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