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コラム

 

子供たちの書き初め

2011年01月25日
弁護士  太田 賢二   プロフィール

 僕が、小学生の頃にも、冬休みの宿題には、「書き初め」が必ずあった。昔からの習慣では、1月2日に書き初めを書くと字がうまくなる、とか言ったそうだ。ただ、そのときには、「お手本」が配られた。思い出すと、「元旦」とか「初日の出」のように、正月に関わる言葉だったり、「一日一善」、「初心忘るべからず」のような教訓めいた言葉だったような気がする。
 

 ところが、今時の小学生書き初めは、書く内容そのものを自分で考えるところからが宿題だというのだ。うちのツインズが、小学校3年の冬休みにそのことを知った。
 

 これは困った。親としては、そこから一緒に考えなければならない。まだ3年生だから、「禁酒・禁煙」はもちろん、「ダイエット」というわけにもいかない。まずは二人が何を考えるかを聞いてからだな、と腹をくくった。
 

 最初に決めたのは、R平。「今年も気合いだ」。なにやらどこかのテレビで聞いたような言葉だがまあいいだろう。「今年は」ではなく、「今年も」であることがポイント。そうそう、当時R平は三年生になって、学校では、ずいぶん気合いが入っていたことは十分に感じられた。できるなら、今年は、「ピアノも」、「水泳も」「お手伝いも」、気合いだ!。
 

 K平はいろいろ考えて、「計算がんばる」に決めた。「計算も」だと、ちょっとまのびしてしまうし、「算数」だと字のバランスがむずかしそう。何ごとにもていねいなK平には、「がんばる」というのはちょっとあわない部分もあるけれども、まあいいや。今のところR平に負けている計算の速度にこだわるところは、心にひめた闘志を感じる。
 

 

 さて問題は、お手本だ。自分勝手に書かせれば、いいかげんにするのは目に見えている。かといって、僕がずっと横で見ている根性もない。そして僕もかみさんも、お手本を書けるほどの能力はない。
 

 そこで、かみさんがグットアイデア。正月に金沢の実家に帰るので、そのときにおふくろ(僕の母親、つまり二人のおばあちゃん)に、お手本を書いてもらうこと。自慢じゃないけど、おふくろは字がメチャうまい。親父は、おふくろに向かって「お前の字のうまいのだけは使える」などと、ちょっと失礼なことを言っているくらいだ。それで金沢に帰る前におふくろに電話で伝えたら、笑いながらも了解してくれた。よしよし、これで親の責任は果たせたな。
 

 元日に実家へ行って、改めておふくろに、書き初めの指導をお願いする。すると元日の夜の寝る前に、おふくろが筆を取り出して練習を始めた。ひと通り書いて、僕に「どお」、とたずねる。字のバランスはともかく、やっぱりうまい。「うん、まあまあだね。」とか言って、僕は眠りにつく。
 

 翌朝起きると、冷蔵庫の前面に書き初め用の習字紙が二枚、ひらり。「今年も気合いだ」と、「計算がんばる」。う、うまい。なんとおふくろは、孫二人のために、夜の三時すぎまで起きて、お手本を書いていたのだ。すごい。僕のときは、受験のときでも、僕より早く寝ていたのに、、、。これで2人ががんばらないわけがない。朝ご飯が終わると、文句も言わずに書き初め体制にはいる。おふくろのうまい字に圧倒されたな。
 

 最初は新聞紙を使っての練習。おふくろは、二人の横につきっきり。笑いながらも、てきぱきと、そして楽しそうに教えている。二人は、紙に向かって真剣そのもの。二人とおふくろにはさまれた僕は、なんとなくいい気分。正月で朝からお酒が入ってながら、ちょっとはなれた所から、「ほら、そこピシッと一回筆を止めて。」、なんて口をはさむ。
 

 小一時間で、二人とも何とか完成。上出来、上出来。また、親父と酒がすすむ僕であった。うーん、良い正月だ。

 

 

 そうして毎年の書き初めの宿題は、金沢の実家で行う習わしとなった。中学になると、僕たちの頃のように、お手本が決まっていたが、それでもおふくろのご指導を仰いできた。
 

 今年子供たちは中学3年になる。来年は受験だから、金沢に帰省しないかもしれないし、そもそも書き初めの宿題なんて出ないのかな。
 こうして、少しずつ時が経っていくのを感じるお正月であった。

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